病院薬剤師の経験は調剤薬局で役立つ?転職して実感した3つのこと
2026/10/08
投稿者:薬局小春さん
私は新卒で病院薬剤師として1年間勤務し、現在は調剤薬局で働いています。
病院にいた頃は、毎日覚えることが多くて、目の前の仕事をこなすので精一杯でした。でも、薬局で働き始めて半年経った今、「病院で教えてもらったことや経験が今の仕事につながっている」と思う場面が少しずつ増えてきました。今、病院薬剤師として働いている方は、当たり前のことだと思われるかもしれませんが、「薬局薬剤師として活かせる場面がある」ことを知っていただきたいのです。また、薬局薬剤師の方は、「病院に行けばこういうことが学べるのか」だとか、将来的に「スキルアップのために病院に転職したい」と思うかもしれないので、ぜひ最後まで読んでください。
1.病院で身についた検査値の確認が、薬局での処方監査に役立った
ある病院からいつも定期薬を処方されている患者さんがいました。そこには血清クレアチニン値とeGFR値が記載されていました。腎機能の評価によく利用されるクレアチニンクリアランス(CCr:mL/min)を計算すると20ぐらいでした。(正常値:約100以上、年齢・性別により幅があります)これは注意しないといけないなと思い、薬歴の伝言に残しました。
ある日、いつもとは違う病院からレボフロキサシン錠500mg 1日1回(1回1錠)夕食後5日分が処方されました。薬歴を確認すると、以前記録していたCCrを見た瞬間、減量が必要だと思い、添付文書を確認しました。①CCr20以上50未満の場合と②CCr20未満で二段階減量基準がありました。 この患者さんは境界値のため、採血した病院、日付、体重などのデータ+添付文書上の用法、用量を合わせて疑義照会の際に提示して確認しました。その結果、「①1日目:500mg、2日目〜5日目:250mg」に変更になりました。病院薬剤師として働いていると、抗菌薬と腎機能の評価は、多くの薬剤師が一度はしっかり向き合うテーマだと思います。繰り返し考えることで、自分の経験として体に染みつき、薬局で処方監査する際にこのままで大丈夫かなと立ち止まることができました。しかし、今回の症例でもう一つ大切だったことは、患者さんが他院の処方箋もかかりつけ薬局として持ってきてくれたということです。もし、この処方箋がその病院の近くの薬局など、別の薬局に持ち込まれていたら、腎機能の情報までつながらなかったかもしれません。一人の患者さんの薬を継続的に、一元的に見ていく「かかりつけ薬局」の重要性を感じました。
2.病院経験から患者さんの病態や治療背景を考えられる様になった
病院では、電子カルテ上でさまざまな医師のオーダーが飛び交っていました。血液検査の指示や心臓や下肢静脈のエコー検査、レントゲン、栄養指導、リハビリの指示など・・・たくさんある血液検査のデータから薬物療法に必要なデータの抽出、数値の変化、患者さんの病態までつなげて、問題がないか考える習慣ができました。医師や看護師の記録を見て、わからない内容があればそれについて調べたり、先輩に聞いたりして、徐々にわかるようになっていきました。
薬局薬剤師として、患者さんの処方を見て、適応から診断名を想像することは皆さんされていると思います。患者さんの中で点と点がつながっていることによって、アドヒアランスが向上すると思います。医師から副作用について説明されたと言われる患者さんも多いですが、なぜそうなってしまって、どう気をつけていいのかまでは知らない方が多い印象です。そこまで説明できると薬局薬剤師として役に立てるのかなと思います。
3. 退院後の生活を知り、患者さんやご家族に寄り添った服薬支援ができた
病院にいると、患者さん本人だけでなく、ご家族さんと関わる場面もあります。MSW(医療ソーシャルワーカー)の方々が退院後の生活に関して、本人やご家族の意向を汲み取って、調整している様子を頻繁にカルテ上で確認できました。介護しているご家族の負担を減らすためのレスパイト入院も受け入れていたため、毎日自宅で介護する大変さを感じることができました。退院後、薬の管理を誰がするのかが非常に重要なポイントでした。患者さん本人が管理できない場合、家族や訪問ヘルパーの人が管理や服薬支援をする必要があります。退院時に説明することができる場合はその方に向けて指導できますが、訪問ヘルパーさんや施設の方が管理する場合、直接会うことができません。そのため、お薬手帳や薬袋、薬物情報提供書を整えて、お渡しすることが大切です。また、薬剤管理サマリーを書くことが推奨されているため、手帳シールや紙媒体などで変更点や注意点を記載することもありました。
病院で働いていた時、家族が昼間仕事でいない場合は用法を朝夕食後に変更できないか検討したり、一包化して自己管理できないか評価したりしました。今は、服薬指導の際に、本人や家族の求め、医師の指示で一包化をすることが多いです。しかし、その後、飲み間違いや飲み忘れが減ったかどうか確認して評価し、トレーシングレポートで医師に情報提供することで医療連携ができ、患者さんにも説明がしやすいため、ありがたいなと感じます。
まとめ
病院にいた頃は、時間に追われながら必死に頑張っていたため、できないことばかり目についていました。しかし、今まで経験してきたことは自分の土台になっていると感じます。病院と薬局では、働き方が大きく違いますが、患者さんの生活や治療の背景を想像して働くという部分は共通していると思います。これからは、薬局でしか学べないことを少しずつ増やしていきたいです。
